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[2967],[2969]への補足です。
・[2969]
> 肝心の「スワローあかぎ」([2967])について、まだよくみていませんでした。
> なぜ、チケットの名称や制度、料金を一本化できなかったのでしょうか。
> JRの規模ならではといいましょうか、「スワローあかぎ」専用の発券(チケットレス)サービスを立ち上げることは社内的に許されず、ほかの列車と共通のシステムでないといけない(とされるとみられる)からなのでしょう。
> こういう、例外条項に例外条項をどんどん建て増ししていくような対応は、最初からいっさいしないのが理想的ですが、そうもいかなかったということですね。
・[2967]
> とはいえ、まずは「スワロー踊り子」への統合(ライナーの廃止)、ということなのかもしれません。
3月のダイヤ改正で「座席未指定券」が新たに設定されると発表されました。「スワローあかぎ料金券」は1年限りで早くも終わることとなります。
・JR東日本「上野東京ライン開業に伴い、常磐線特急はより快適に、より使いやすい特急に生まれ変わります。〜新たな着席サービスを導入します〜」(2014/10/30)
http://www.jreast.co.jp/press/2014/20141021.pdf
> (4)新たな着席サービス
> 普通車において、従来の指定席・自由席の区分をなくし、特急料金を新たに設定します。
> ※自由席の設定はございません。
> 指定席特急券をお買い求めいただくか、乗車日・区間のみを指定し、列車・座席を指定しない特急券(以下、「座席未指定券」といいます)のいずれかをお買い求めください。
> 現在の普通車指定席・グリーン車の特急料金よりお買い求めいただきやすい料金とします。
> 指定席特急券・座席未指定券とも料金は同額です。座席未指定券は、追加の料金なしで座席指定を受けることができます。
> 季節による変動がなく、年間を通じて同一の料金です。「通常期」・「繁忙期」・「閑散期」の区分はありません。
> 普通車の特急券を車内でお買い求めの場合、駅で事前に購入する特急料金(事前料金)に260円(おとな料金)を追加した車内料金となります。この場合、車内の空席をご利用ください。
そして吹き出しで「シンプルで分かりやすく!」と大きく書かれています。シンプルではあると思いますが、…わかりやすいですかねぇ。すなわち、制度はわかりやすくなったのに、説明がわかりにくいということです。そして、なぜ説明がわかりにくいかといえば、用語、すなわち登場人物が多すぎるということに尽きます。
・(1)「指定席特急券」と「座席未指定券」
・(2)「特急券」と「着席サービス」
・(3)「事前料金」と「車内料金」
(1)については、座席の指定の有無以外に差がないにもかかわらず、チケットの名称が厳然と2つ(!)に分かれていることが問題です。料金の異なる「指定席特急券」と「スワローあかぎ料金券」が並列していた「スワローあかぎ」(改正前における)と五十歩百歩、もしくは一進一退といいましょうか。
これは、指定席特急券の発券システムはJRグループを通じて全国(や一部、海外の旅行会社[2968])で共通のまま、「座席未指定券」を別建てで(企画乗車券として?)発券するという、東日本としてはいかんともしがたいというシステム上の都合「だけ」によるものとみられます。
とはいえ、だからといってチケットの名称を別にしなければならないという理屈にはならないはずです。
システム上のチケットの区分を「お客さま」に意識させず、どちらのチケットも単に、例えば「常磐線特急券」という名称で発券し、システム上「指定席特急券」であれば指定席の情報が印字され、座席未指定の場合は「(企)」(企画乗車券)と印字されれば、それでいいではないですか。
(2)については、特急列車に乗るために必要となる追加のチケット(「特急券」)が、何のための対価であるのか([2967]など)、曖昧なままであるというところにも遠因があると思います。
いま、特急(列車)だけが特急(速達性のある列車)というわけでもなく、特に常磐線(※)では特別快速や普通列車も十分に高速に運転されています。他方、近年は「着席サービス」という名称が前面に出てきており、そういうことなのかな、とも思わせられます。
ならば「着席券」と呼ぶとか、特急だろうがライナーだろうがホリデー快速だろうが「乗車整理券」に統一してしまうという方法もありえるでしょう。「スワローあかぎ料金券」を1年限りで終了し、「特急券」と呼んだまま「座席未指定券」と呼ぶ新たな「着席サービス」を導入していくという一連の流れの中からは、将来的にどのような状態に持っていきたいのかという「グランドデザインのようなもの」を感じ取ることができません。あくまで現時点で私が感じ取れないだけならよいのですが、よもやそういうものがどこにもないのだとしたら、と思うと漠とした不安に襲われてしまいます。
※[2910]で先述のように、常磐線のダイヤは「最新世代」とみなせます。
(3)については、車内料金のほうが正規料金(「届出した運賃・料金等」)で、駅やチケットレスサービスで事前購入すれば割引(車内対応を減らしたい:そのためのインセンティブ)というのが実質だとみられますが、なぜそうした理由をきちんと説明せず、料金の違いだけを説明して説明できたとしてしまうのでしょうか。
「割引」を設定して誘導することは、まっとうな施策です。これまで、公共のサービスにおいて「割引」を前面に出してアピールすることはまかりならんという何か的なものがあったことはあったでしょうが、いま、そんなことでケチをつける人はほとんどいないのではないでしょうか。
「割引」はただの「割引」であって、そこに妙に客観的な何かを装ったような「事前」と「車内」という対立関係を不用意に導入することが、かえって趣旨をわかりにくくしているといえます。もちろん、いろいろな事情からあえてわかりにくく、ぼかしているのかもしれませんが、そうだとすると不誠実で、いやらしい話としかいえません。
・同「2015年3月 ダイヤ改正について」(2014/12/19)
http://www.jreast.co.jp/press/2014/20141222.pdf
> 成田エクスプレスで「座席未指定券」を発売します
> 「座席未指定券」は、列車・座席を指定した現在の指定席特急料金と同一料金です。
> ※成田エクスプレスでは、満席時のみに発売している「立席特急券」の発売を取り止めます。
> ※特急料金変更および座席未指定券の発売に伴い、3月13日をもって特別企画乗車券「スワローあかぎ料金券」の発売を終了いたします
常磐線の特急列車(「ひたち」「ときわ」)では実質値下げとなるところ、成田エクスプレスでは据え置きとなります。路線や列車を問わず「座席未指定券=おトク」という単一の図式が成り立たないところに、わかりにくさが残るといえます。なお、「スワローあかぎ」については料金の一本化が実現して制度上はわかりやすくなりましたが、チケットの名称が2つ(!)というのは他の特急と同じです。
列車(系統)ごとに料金が異なるというのは、車両のグレードや客層、運行頻度などからしても当然だと思いますが、それでもできれば「A寝台」と「B寝台」のように、一定の規格化(※)をはかっていくことが望まれます。利用客としては、自分がどのくらい「ぜいたく」をしたのかが明確にわかってこそ、満足できたり、納得して低いグレードの列車を利用したりできるというものです。
その点では、これまでに廃止されました「新特急」(座席のグレードが低い)や「エル特急」(運行頻度が多いが速達性は乏しい)というものも、線区によってそれしかないというのは困りますが、選択肢となる実体としては意味があったといえます。
※総武快速線での特急が実質、成田エクスプレスしかないというのも、実に不便なものです。
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