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[3035]に関して余談です。
・[3035]
> 信号扱い所の写真では、NECのFC-9801シリーズまたはFC-9821シリーズとみられるコンピューターが2台、置かれている様子が見えます。
大きな連動駅(線路やホーム、分岐器の数が多い駅)では、ここにいわゆる「ハイレゾ機」を入れるということになっていたとみられます。
・このサイト「横浜線」(2014年9月16日)
http://atos.neorail.jp/atos2/future/hashimoto.html
> これまで24ドットタイプの電光掲示板は、制御装置として組み込まれる産業用コンピュータの機種(いわゆる「ハイレゾ機」)に依存して設置されてきた経緯がある。すなわち、大規模駅において高解像度な在線モニタを表示するためにハイレゾ機を採用すると、電光掲示板も24ドットタイプにせざるを得なかったとみられる。
私鉄や地下鉄で24ドットタイプの発車標の採用例が多い状況の背景と、JRで16ドットと24ドットが使い分けられてきた背景とは、まったく別々の背景だと思われます。ここではJRに限定した話です。いわゆる「ハイレゾ機」についてもカタログを参照してみましょう。
※八王子や横浜の扱い所にある(あった)コンピューターがずばりFC-H98だとは限りませんが。
・NEC「FC-H98/100」(1996年1月販売終了)
http://jpn.nec.com/fc/fcpro_series/end/h98.html
・同 カタログ(発行年月不明)
http://jpn.nec.com/fc/pdf/catalog/end/fch98.pdf
> ハイレゾリューションモード
> 1.120×750ドット 1画面
> 漢字ROM本体標準装備24×24ドット(明朝体)
> ノーマルモード
> 640×400ドット 2画面
> 640×200ドット 4画面
> 漢字ROM本体標準装備16×16ドット(ゴシック体)
> リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色または16色(キャラクタ単位に指定可)
GUIなWindowsやLinuxになった(とみられる)現在ではまったくの「昔話」ですが、CUI(画面がテキストベース)だった時代には、解像度を高くするための仕様が、24×24ドットの漢字ROMというハードウェアに強く依存して実現されていました。また、PRCと連動した発車標で見られる発車時刻が近づくと点滅する表示に代表されるように、発車標の制御においてもFC-98やFC-H98の仕様が表現力を決定していた面があります。24ドットが明朝体で、16ドットがゴシック体であるというのも、その一つです。(エスケープシーケンスでブリンク[2906]も参照。)
・Wikipedia「エスケープシーケンス」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%B9
・個人のブログ「ANSIエスケープシーケンスについて」(2014年4月5日)
http://dyama.org/2014/04/ansi-escape-sequence/
※CUIで漢字(非ASCII文字)を表示するのもエスケープシーケンスのようなものです。といっても、エスケープシーケンスというと、文字色の変更やブリンク(点滅)やリバース(文字色と背景色の反転)という、文字の装飾を一番に想起します。
※ATOS導入前の新宿の山手貨物線ホームの発車標では、NECのWindows機(Windows3.1からWindows98まで)に標準搭載されていたフォントである「FAゴシック」らしき書体での表示もみられました。その時々、いろいろな仕様の制御装置があったようです。
・新宿駅3番線の発車標(2001年1月)
http://atos.neorail.jp/photos/photos_led.cgi?mode=detail&id=274
・FAゴシック
http://www.akibatec.net/wabunfont/library/nec/nec.html
http://jpn.nec.com/font/jis7890/notice.html
・NEC「フォント 製品一覧」
http://jpn.nec.com/font/font_product/font_product.html
Windows上で「FAゴシック」を小さな(8〜16ポイントくらい)サイズで表示させたときにはビットマップフォントで描画されるわけですが、このビットマップフォントが単体で組込み向けにも提供されていますので、発車標の制御装置がWindowsベースであるとは決まらないわけです。
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