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[3000]に関して補足です。
・[3000]
> 吉川美南7:00発の西船橋行きが1本、新設されます。
> ラッシュ時や日中に折り返しを多数設定するということは、すなわち増発するということになるからです。増発に直結しない折り返しとしては、初電の繰り上げや終電の繰り下げのために、吉川美南に夜間滞泊する列車や、早朝に新習志野から出区して吉川美南で折り返す列車を設定することも、このフェーズで検討されていくのではないかと思います。
この、「吉川美南7:00発の西船橋行き」が、どこからいつ、どうやってやってくるのかについてお探しの方がいらっしゃいました。確かに、気になって夜も眠れないことと思います。実地に見たわけではなく恐縮ですが、何でもかんでも実地に見るまでまったく見当もつかないというのでは困る場面もあるでしょう。以下、調べかたや見当のつけかた(推測のしかた)の例としてまとめます。
(市販の)時刻表を参照しますと、当該の電車の列番は777Eですが、その前の時間帯に吉川美南行きの電車は(府中本町方面、西船橋方面とも)設定されていません。また、76E/77Eの運用は、(市販の)時刻表の上では当該列車からいきなり始まります。(これより前の時間帯に76E/77Eの営業列車はありません。)
※もちろん、市販の時刻表(交通新聞社の「マイライン東京時刻表」など、東京近郊区間の電車がすべて掲載されているもの)に代わって、Web上の「えきから時刻表」を参照いただいても、同じことを調べることができます。
・えきから時刻表
http://ekikara.jp/newdata/line/1301371/down1_8.htm
ここから、次の2通りが考えられます。
・A. 前日に吉川美南で運用を終え夜間滞泊となる
・B. 回送列車として送り込まれる(いわゆる「送り込み回送」)
A.については、吉川美南では夜間滞泊できない(※)とみられることから、まずないだろうと考えることができます。
※電車区に準ずる警備態勢がない、乗務員の仮眠設備がない:タクシーやマイクロバスで乗務員を「送り込み」してもよさそうですが、しないようです、深夜の工事用車両と貨物列車の運行のため線路を空けておく必要がある? 等々の理由が考えられます。
仮にB.だとして、どこから送り込まれてくるのでしょうか。それを探るため、前日の運用、すなわち74E/75E運用がどこで一日を終えるのか見ましょう。
・えきから時刻表「武蔵野線」(再掲)
http://ekikara.jp/newdata/line/1301371/down1_8.htm
新習志野を終点とする1875Eが最後で、これより後の時間帯に新習志野から府中本町方面への74E運用はありません。前日に74E/75Eに充当された電車(編成)は、新習志野で営業を終え、そのまま新習志野の電車区に入区し、電車区で夜間滞泊(※)し、翌日に76E/77E運用として出区するとみられます。
※…とはいわないですね。一種の「ホーム」(家)である電車区に対し、「アウェー」(よそ)とでもいうべき駅や留置線で夜を明かすことだけを「滞泊」というはずです:「外泊」といっても過言ではないかもしれません。
ならば、新習志野→吉川美南間でも営業運転すればよいものを、と思ってしまいますが(一見、無駄にみえるような回送列車:営業できるのにしない列車[2971],[2981]も参照)、西船橋から府中本町方面に向かう人にとって「吉川美南止まり」となるのは不便です。単に不便かどうかというだけでなく、安全上の問題としても(奥ゆかしい[2911])、「吉川美南止まり」を避けて、次発の府中本町行きを待つ(ホーム上で待つ)人が出れば、ホーム上の滞留にも拍車がかかりかねません。
朝ラッシュ時に西船橋→南流山の区間(この方向に限る)の需要が爆発的に増える(東松戸で北総線に乗り換えて成田空港へ、新松戸で常磐線沿線へ、南流山でつくばエクスプレスに乗り換えてつくば方面へ)などすれば、回送でなく営業列車になるのでしょうけれども、そのような需要を持つ人々は既に、東武野田線で「(船橋から始発で)座れる」をなさっているでしょうから(着席については[3018],[3027]も参照)、武蔵野線で朝ラッシュ時に、この区間、この方向の需要が突出して伸びることは考えにくいように思います。(あくまで推測です。)
別の観点では、送り込み回送の電車に車掌は乗務しておらず、新習志野からは車両と運転士のみがやってきて、車掌は別の電車に「便乗」(一般でいう「便乗」とは異なり、よくない意味はありません)してやってくる、のかもしれません。本当でしょうか。
※そして、仮に、この送り込み回送の列番が回0676Eであるとしますと、通過駅では「電車が通過します」と案内されるはずです。武蔵野線内で「電車が通過します」はあまりないように思われます。列番の末尾が「M」である八王子発着の「むさしの号」についても、八王子−東所沢間での回送があるようです。これまた、東所沢−八王子間でも営業運転してもよさそうなものを(略)と見えるところです。
車両の運用について、まったく異なる観点からも見てみましょう。
自由通路が24時間開放されているなら、それなりの巡回警備もしているだろう、それなら車両の夜間滞泊(中線での留置)もできるのではないか、と、素朴には期待してしまうところですが、そんな期待をしてもいいのでしょうか。
・吉川市「吉川美南駅自由通路の設置及び管理に関する条例」(2011年12月19日)
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/reiki/reiki_honbun/j500RG00000829.html
・同「吉川美南駅自由通路の設置及び管理に関する条例施行規則」(2012年1月27日)
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/reiki/reiki_honbun/j500RG00000832.html
・鉄道建築協会「入選:武蔵野線吉川美南駅自由通路・駅舎新築」
http://www.aran.or.jp/works/4135.html
・伊藤建築設計工房「吉川美南駅」
http://ito-arch.co.jp/%E5%90%89%E5%B7%9D%E7%BE%8E%E5%8D%97%E9%A7%85/
・東芝エレベータ「施工事例 JR吉川美南駅(埼玉県吉川市)」
http://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/case/new/station_18/
・室瀬和美(漆芸家)
http://murose.com/profile/
・個人のブログ「2012年4月15日JR吉川美南駅施設調査(3) 自由通路編」(2012年4月28日)
http://okiraku-goraku.com/2012/04/20124153.html
・吉川市「広報よしかわ」(2012年3月)
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/27,31279,c,html/31279/20120229-140638.pdf
> 自由通路 24時間通行可(※)
> ※エレベーターは午前4時30分から翌日午前1時30分まで
自由通路は「24時間通行可」でも、エレベーターが、まるで駅のような時間帯だけの利用とされています。
自由通路は吉川市が整備したものですが、実際の運用にあたっては、エレベーターで人の閉じ込めが起きた場合に駅員が「走行」(走って駆けつける、の意)するなどの取り決めがあるのだろうと思います。このため、駅が開いていない時間帯(≒駅員がいない時間帯)はエレベーターも停止させておくということですね。
駅前広場に面しては、店舗も郵便局も銀行もなく、ATMもありません。量販店やショッピングモールは、駅から少し離れた立地になっています。(深夜・早朝の)巡回警備の目が駅にも回ってくることは(直接、契約しない限り)期待できません。
・NAVITIME「吉川美南周辺の銀行/信金/ATM」
http://www.navitime.co.jp/around/category/S00009612_0501
・JR東日本「ビューカードCD/ATM一覧 武蔵野線」
http://www.jreast.co.jp/estation/view-atm/list.aspx?rosen=63%3D1%3D%95%90%91%A0%96%EC%90%FC&token=&city=&submit=%8C%9F%8D%F5&mode=1
http://www.jreast.co.jp/card/guide/atm/
※吉川美南には駅のATM「VIEW ALTTE」(ビューアルッテ:ビューカードのATMで、「Suica付きビューカード」のオートチャージの設定なども可能)は設置されていません。
・東急セキュリティ「巡回警備」
http://www.tokyu-security.co.jp/bs/human/patrol.html
(警備会社として)効率的に巡回警備したいとすれば、巡回の対象がそれなりにまとまって立地していることが望まれるかと思います。
※FTTHで、1軒だけのために電話局からはるばると光ケーブルを引くのと、集合住宅で16戸以上が見込めるときに割引しましょうというのと似ています。
遠い意味では、吉川美南の駅前に銀行か郵便局ができるくらいにならないと、車両の夜間滞泊もできない(諸々勘案の上、便益に対してコストが見合わないと結論される)とみられます。まさにバタフライですね。
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