フォーラム - neorail.jp R16
発行:2016/4/4
更新:2018/5/20

[3219]

【オートメーションと鉄道】

〔フレッシュおはよう東日本〕3号:永楽電気「ATOSユニット」を読み解く


(約3000字)

 この一連の記事では、「じゅんふどうのあっとらんだむ」で「じどうほうそう(ただしはっしゃめろでぃーをふくむ)」を技術面で立体的に読み解くことを目指します。

 お好きな順番でお読みいただけるよう、1つの記事を短めに、そして細切れに掲載いたします。中でもとりわけ短いのが本稿です。


・永楽電気「案内放送装置(EKAシリーズ)」
 http://www.eiraku.com/products/jotsu/hoso/hoso_01a.html
 http://www.eiraku.com/products/jotsu/hoso/EKAmeiryou.pdf
 http://www.eiraku.com/products/jotsu/hoso/atos.gif

 > 番線毎の入力種類
 > ワイヤレス1、ATOS1、簡易接近放送1、発車放送1

 > 音源(番線別実装)
 > WAVEファイル再生方式(22kHzサンプリング)
 > メモリ CFカード(コンパクトフラッシュメモリー)

 > 接近条件
 > ATOSからの案内放送
 > 発車ベル
 > 外部入力(制御付)

 > オプション製品
 > ATOSユニット
 > ATOSの放送・制御 1ユニットで1ホーム対応

 ぬおー!! これはすごい「簡易なI/F」ですね、わかります。そして、発車ベルに関しては、この装置の外側であると示されているように読まれます。すなわち、発車ベルについては、本当に「ベル」以来のAC100Vのソレ(を置き換えた装置)があって、鳴動はそちらで、ただし電子化されて音声が出力されてくるのなら「制御付」というAUX入力に入れて、鳴り終わったら「発車放送」を流すようにセットしておく、といった「運用」が想像されてきます。(まったく想像です。)

 なお、いくら「ATOSユニット」とはいっても、これは、永楽電気さんの側で、『ATOSのためだけに必要となるオプション製品である』(当社のラインアップとしてはレギュラーでなく、ATOSのためだけに用意する特別な品!)という理屈からの命名であって、しかし、一般の市場から見て何か特別な仕様であるかといえば、(限りなく)いいえ、いたってフツーのI/Fだろうと決めつけます。(そうでなければ、ATOSの側で「汎ようはすごいぞ」と言えなくなってしまいます。)

・(参考)「GP-IB」「IEEE 488」
 http://www.contec.co.jp/product/device/gpib/basic.html
 https://ja.wikipedia.org/wiki/IEEE_488

 > 1システム内の機器接続台数はコントローラ(パソコン)を含め15台
 > デイジ・チェーン(いもづる接続)、スター型(放射状)、その組み合わせなど、自由度の高い接続が可能です。ただし、ループ接続は禁止されています。
 > 各装置間のケーブル長は4m以下、1システム中で、装置を互いに接続するのに使用できる最大ケーブル長は、「2m×(装置数)」または20mのどちらか短い方とします。
 > 8本のデータラインを使用して一度に1バイトのデータを最大1MB/秒で転送します。

 > 1975年(今は 488.1になっている)として標準化された。
 > IEEE 488.2 標準(1987年6月)

・(参考)「RS-422/485」
 http://www.ibsjapan.co.jp/tech/details/rs-422-485/rs-422-485-serial.html

 > 最大1.2kmまで
 > 平衡型
 > RS-485は、1対の信号線上に複数の装置を接続できるマルチドロップが可能
 > シリアルインターフェースでありながら、最大10Mbpsのスピード

 > 装置が異なる場所から電源供給を受け、装置間の接続が長い場合、電位差が生じます。そして、グランドラインを通じてグランドループが発生することにより、ノイズの発生による通信エラーや装置内部のレシーバやドライバを破壊することが考えられます。
 > この障害を無くすには、グランドループを切る必要があります。例えば、Moxaのマルチポート通信ボードやインターフェースコンバータのように、オプティカル・アイソレータを製品に組込まれていれば、電気信号が光に変換されることにより直接、物理的に電気信号が接続されないために2,000V程度までの高圧に耐えられます。

 おお、傍題ですが「DC1,500Vが短絡!」しても耐えられるとわかります。

 とはいえ、ここで制御されるのは、「ATOSよりの案内放送」が「入りまーす!」「終わりました!」という(それにあわせてアンプの電源を制御してください、という『ATOSからのお願い』、の意)、それだけだと推定されます。そんなに豪勢なI/Fでなくても…いえ、きっと素人にはわからないところで、小難しい要求があるのでしょうと想像しておくことにいたします。(優先度を複数使い分けるようなソレなど。)

・Wikipedia「RS-422」
 https://en.wikipedia.org/wiki/RS-422

 > Revision B, published in May 1994 was reaffirmed by the Telecommunications Industry Association in 2005.

 とのことで、仮に「ATOSユニット」がRS-422であるとしますと、1994年5月以降の日の浅いうちに「ATOSユニット」などと称して、その実「策定されたばかりの新規格のI/F!」を永楽電気さんにまで「用意させた」(あくまでJR側からみて)というのは、なかなか強力で指導的なソレであったやのような印象が生まれてきそうです。無難にはGP-IBではないかなぁ、と(外形的に)思ってしまうのは、このあたりの力関係といいましょうか空気といいましょうか、そういう何か的なものが、部外者としてはよくわからないというところに戻ってきます。


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