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発行:2018/7/16
更新:2023/4/11

[3660]

【自由研究】いま問う「科学工夫作品いわゆる工作」のココロ(談)


「自由研究」の「指導」とは(再)
「考察」とは何か(再)
「自発的」とはどういうことか(再)
「先行研究」を網羅的に調べよう(再)

(約7000字)

 「自由研究」で「工作」だから何かを免れる(「楽ができる」「一段劣る」)ということはないのですよ。

[3523]
 > 材料の選定から評価実験の計画、評価の尺度まで、一連のソレが普及されていないのですから、好き勝手に取り組ませれば「これで〜す。」みたいなのしか出てこないのは当然なのですよ。ええ。「科学工夫作品いわゆる工作」にも、きちんとした指導が必要なのですよ。介入すると自主性を損ねるですとぉ? …とんでもない! 「科学工夫作品いわゆる工作」は「アート」ではないんですよ、工学的な態度を養うソレなんですよ。

 「自由研究」には「指導」が必要です。ここテストに出ます!(違)

※「科学工夫作品いわゆる工作」とは、千葉県でいう「科学工夫作品」で、全国では「発明くふう」のコンクールに応募させる、小学生の夏休みの宿題を念頭にした呼びかたです。中学校の理科の夏休みの宿題は想定していませんので、あしからず。中学校では「分野」(物理なのか生物なのか)をはっきりさせ、不用意に複数の分野にまたがらないようにするのが最初にすることでしょう。そして、実験ができて考察ができることが最優先です。気象や岩石はむずかしいのと、化学ではまったく化学でしかないので、物理か生物かというところで、本人の興味を活かせばよろしいのではないかと、こういうわけです。内容については必ず教員に指導を仰いでください。

・(参考)岡山県総合教育センター「高等学校理科(生物)」
 http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/gakkoushien/kou_seibutu/index.htm

 > 「DNAの抽出」をテーマに
 > 探究的な観察となるような授業づくりの工夫

 > 「陽葉と陰葉の比較」をテーマに探究的な観察,実験の紹介。
 > 小学校では活用されるが,中・高等学校では利用が少ない気体検知管を使用して定性的な測定

 > 身近な食品を用いた熱量測定

 > コクヌストモドキ
 > 擬死する時間が
 > 長い,短い個体群

 > 無細胞タンパク質合成実験
 > 無細胞系の実験で,GFPを作成し,蛍光によって確認しました。
 > マニュアルに沿って反応液を
 > 分注し,発光ダイオードで
 > GFP形成を確認できた

 おおー。(「平成27年度」「平成26年度」を参照しています。)


★「自由研究」の「指導」とは(再)


・「自由研究」山口県教育庁義務教育課の説明です(2011年6月29日)
 http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/5/6/d/56d90fd6aa3cae9bf97f5776568e96a0.pdf

 > 児童の力だけで、自由研究に取り組むことは、簡単なことではありません。
 > 次のような点を参考にしながら、事前にしっかりと指導しておきたいものです。

 > テーマは、簡単なものでも、これまで他の児童が取り組んだものでも構いません。大切なことは、児童自身が目的意識をもち、見通しをもって観察、実験に取り組んでまとめる活動を経験することです。

 まさにこれだね。(※見解です。)

 > コンピュータのソフトウェアを主体とする作品は受理しない。

 あたりまえです。主論文を書かなくてはいかんとですよ。「IoT」といいさえすればみたいなのもアレだね。そこに「研究テーマ」がないんですよ。これだね。(※見解です。)

 そして、義務教育課みたいな立場で「ものづくり」などという厚生労働省の管轄みたいな用語を(職業体験ではない文脈で)導入してはいけません。それは工業高校や高専に進んでから受ければよい教育なんですよ(=それで間に合うし、余計なことをせずに入ってきてくれるほうがスムゥズである=入学後に学ぶ時点で最新のことを学ぶんですから、親の世代が「よかれ」みたいに予習させたことはぜんぶ陳腐化しているんですよ=)。(※見解です。)

 学校を出た後も10年ごとに学び直しができる、そういう基礎的な学力(学ぶための力)をだなぁ(大巾に中略)しつれいしました。

 そういう意味で小学校のうちの「自由研究」における「科学工夫作品いわゆる工作」というのは、あくまで「自由研究」だと思って、とりたてて工作だから何か違うというとらえかたはしない(させない)ほうがよいのではなかろうかと思いつつあります。工作という作業だけして主論文が書けないのではいけないんですよ。工作というのは、あくまで「研究テーマ」の「1分野」だということです。

・「お父さんが教える 自由研究の書きかた」(2009年7月28日)
 https://www.amazon.co.jp/dp/4426107830

 > テーマの決め方、調べ方、レポートの書き方

 ▼実験ノート(野帳)の最初から最後までと▼主論文、最後に▼ポスター(掲示物)といって、その実、ほとんどの作業は「書く」ことなんですよ。これだね。

 > (カスタマーレビューより)
 > 「研究とはなにか」の簡単な説明です。
 > 2011年7月29日
 > 子どもの夏休みの自由研究になにをやらせようかと思って、この本を見つけました。
 > 自由研究に関する本は読んだことがなかったので、どんな内容かなと思って注文しました。
 > 内容は、研究とは何か、研究テーマの見つけ方、レポートのまとめ方などです。
 > 今まで研究をしたことがない人、実験レポートを書いたことがない人、そもそも研究ってなんだ?という人にはとても役に立つと思います。
 > 逆に、理系の大学でレポートを書いたことがある人には、当たり前のことしか書いてないので、買ってもあまり意味はないでしょう。
 > 私としては、「自由研究と言っても、普通にレポートを書けるようなことをやればいいんだな」と確認できたので、まあ良かったことにします。

 (本ではなくお客さまが)スバラシイ。しかし、世のお父様方!! いくら理系でも、じぶん修論に合格していないとあらば、じぶんに自信を持ってはいけません。修論まで合格していれば、お子さまの指導もできるでしょう。ええ。しかし教職をとっていない限りは、よそさまのお子さまを指導してはなりませぬぞ。これゼッタイ。(※見解です。)


★「考察」とは何か(再)


・啓林館「自由研究に取り組もう」大阪府A教諭(理科)の実践例です
 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/tea/chu/jissen/rika/201203/index.html

 > 表現力や文章力を向上させるためにも,一定のマニュアルのもとに指導を行うことに効果があると思います。

 これだね!(※ヒザをたたきながら勢いよく立ち上がってよろけてみせるとGOOD!!)

 > 目的の決め方が生徒にとっては難しいので,担当教師と相談したり,実験を進めながら目的を細かくしたり,内容を変化させたりすることもあります。

 > 考察を結果と同じと考えている生徒も多く,実験から分かった結果だけを書いている場合が非常に多いです。

 そこは国語なんですよ。うっかり辞書を引くと「【考察】よく考えること。」みたいに書いてあるのがいけないんですよ。あらかじめ書いておいた「仮説(予想)」に対する「答え」という観点で「(実験)結果」を「よく見て詳しく述べる(結果が示す意味を説明する)」と説明すれば「考察とは何か」を理解いただけるのではないでしょうか。…甘いかなぁ。

・「考察とは何か」教科研究理科
 https://www.gakuto.co.jp/download/rika199_2.pdf

 この内容を1ページにまとめられませんかね。できればB5で。(棒読み)

 > 「結果を繰り返して言わせているだけ」の授業

 …ギクッ。ここでいう「問い」とは「YesまたはNo」あるいは「数量や程度の基準(閾値や領域)」を「答え」としているということが前提でございます。ですから「考察」では「YesまたはNo」あるいは「数量や程度の基準」を、実験結果から導き出して述べなければならないのですよ。平均や合計がいくつであったとか、ウサギさんチームは2位でしたとか(違)そういうことを見たままに書けばいいというものではないのですよ。…もっとギクッ。氷に塩をふりながらギクッ!!(※表現は演出です。)

 https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/00140426000801.jpg
 https://kids.gakken.co.jp/kagaku/110ban/text/images/p1463.gif
 https://kids.gakken.co.jp/kagaku/110ban/text/1463.html
 http://www.er.esi.nagoya-u.ac.jp/rescwe/nuclear/images/scf1.gif
 http://www.phys.aoyama.ac.jp/~w3-nishio/team/gel/


★「自発的」とはどういうことか(再)


・「自由研究」の指導例です
 http://www.tamagawa.jp/introduction/enkaku/history/detail_13335.html

 > 能率高き教育
 > 学的根拠に立てる教育
 > 自然の尊重

 > 反対の合一
 > 反対矛盾対立する二面を一つに調和していく試みに挑みたいものである。

 これですよ。…実にこれですよ。

 > 教科学習や芸術、スポーツなどの分野から、自身の興味、関心にもとづいてテーマを決め、自発的に1年間を通して研究に取り組む。担当教員にアドバイスを受けながら自ら計画に基づき研究を進め、それぞれの研究成果を**展や学校行事、外部の大会やコンテストで発表する。1年ごとに研究分野を変更することもできるし、継続的に研究活動を行うことも可能。

 > 9年生(中学3年生)〜 12年生(高校3年生)の研究分野(2017年度)

 おおー!(※詳細は直接お読みになってください。)

[3125]
 > 「判例」とはいっても、「具体的事実から離れた一般的な原則を定立しようとするべきではない11)」というのが末弘の批判だということで、「いわば切実なかたちで、具体的事実に直面して」、その場で判断(判決)が作られる、このことこそが、裁判所の存在理由である、という話だと読めました。

[3589]
 > 被害がなければそれでいいんだといって上空の空気の動きを詳細には観測してこなかった(≒割に合わないと考えられてきた)ということもございましょう。…ギクッ。「いわば切実なかたちで」からの「切迫感」([3098],[3574])がないと、いくらでも後回しにしてしまうのがわたしたちなのですよ。…ギクギクッ。

 「自発的」というのは、「学習への態度」ということ(だけ)ではなく、選んだテーマがじぶんにとって切実なものやかたちであることだと言えましょう。

・切実なもの:その研究テーマに取り組まないと困ることがある
・切実なかたち:その研究テーマに取り組まないと、次のテーマや他のテーマに進めない

 そのように「具体的」に(※問いかたを裏返した感じがあるので「論理的」ともいう)考えていってください。考えるひとみたいなポーズを15分くらいとったから考えました…とんでもない!!

[3657]
 > > ヘッケルは自身の反復説の法則性を重要視するあまり、自説にあわない観察事例をすべて例外と位置づけて軽視したことも、当時の研究者の批判を浴びることにつながった。

 > …コレハヒドイ。

 > 「「TP」「FP」「FN」「TN」のすべてを見渡しての考察」について[3283]を参照。

 単に「理系」ですというだけでは、そこまで学ばないまま卒業する人(分野)もあるのですよ。薬学のひとは大丈夫です。…たぶん。


★「先行研究」を網羅的に調べよう(再)


 研究テーマに「工作」を選んだとしてもなお、「先行研究」を調べ尽くす「サーベイ」が不可欠だと考えます。

・(参考)「このフォーラムについて」(2016年7月30日、2018年3月25日)
 https://neorail.jp/forum/forum_about.html

 > 「理解を深める(サーベイ)」「課題を探る(問題設定)」「あり方を探る(解決方法)」ためには、かなりの段階まで「量(網羅性、完全性)」のみがものをいうという実感がないでしょうか。

[3530]
 > じゅうぶんにサーベイしよう

 > 「野帳」は、平たくいえば「研究日誌」なのだと思ってください
 > とはいえ、何もしなかった日に「きょうは何もしませんでした(家族でさわやかに行きました)」みたいなことは書かなくていいですよ。念のため。しかし、さわやかで自由研究のヒントが得られたのなら、それはきちんと野帳に書かなければなりません。だからといって、できあがりの論文でさわやかに言及する必要はなく、もし口頭発表の場があって聴衆や審査員から質問が出れば、さわやかでヒントが得られたというエピソードを紹介してもいいでしょう。(※さわやかはイメージであり、実在のさわやかとは無関係です。)

 > いま、静岡県総合教育センターの論文集(児童・生徒の「理科研究論文」作品集)を対象に、「Google検索」を使って全文検索します。

・「Google検索」で「site:gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/」を指定して検索する1例です
 https://www.google.co.jp/search?q=site%3Agakusyu.shizuoka-c.ed.jp%2Fscience%2Fronnbunshu%2F&ie=utf-8&oe=utf-8

 > あえて高校生の作品も混ざって出てくるのが、かえって「いい感じ?」のサーベイ(先行研究の体系的な閲読)の手助けになりそうです。

 > 「謝辞」として「静岡県総合教育センターがインターネットで公開している理科研究論文集を参考にしました。ここに記して謝意を示します。」と書くくらいがちょうどいいんですかねぇ。(※現時点での仮の見解です。)

 「参考文献」にも「謝辞」にも「注釈」にも挙げず、じぶんで思いついたかのように書いてはいけません。

 > 児童・生徒の状況にあわせて、無理のない研究計画とすることは必要ですが、少しでも楽をしながら入賞を目指そうという矛盾した態度を(周囲の大人が)取ってはいけません。自由研究の難易度を下げたり負担を減らしたりするのは、そのようにすることで、確実に学習上の効果を得ようという目的あってこそなのです。賞に基準を置くのでなく、本人の学習上の達成に基準を置いて評価しなければ、学習への意欲によからぬ影響を与えると心配されましょう。(※あくまで一般的な心配です。)

 (サーベイもせずにいきなりノートに向かって)じぶんでは思いつけないというのは、あたりまえのことなんです。研究テーマの例を網羅的に挙げている本やホームページを使って、広い視点でテーマを探しましょう。『思いつく』ものじゃなくて、『探すと見つかる』ものなのです。

 そのような「適切な取り組みかた」の指導なしでノートに向かわせ、そこに何も書かれないようすを見て「できそうにない」と決めつけ「あなたは科学工夫作品いわゆる工作にしなさい」と指示するようなことはあってはなりません。(※見解です。)


この記事のURL https://neorail.jp/forum/3660/


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