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2006/5/20(土)

【ATOS拡大】 横須賀線大船以南・武蔵野線にも導入へ

 横須賀線の一部(大船−久里浜間)、武蔵野線にもATOSが導入されることが明らかになった。

 17日に更新されたJR東日本のページによれば、横須賀線(大船−久里浜間)は2009年度、武蔵野線は2011年度の使用開始を予定している。プロジェクトの工期は当初計画より4年延びる。

 横須賀線の東京−大船間では、2000年にATOSが導入されている。東京−大船間の運行は東京の指令室が担当しているが、大船−久里浜間は逗子駅に併設されたCTCセンターが担当している。大船を境に導入時期がずれることになったのはこのためである。

 武蔵野線では1973年の開業当初よりCTCが導入されており、後にPRCが追加されている。2002年には電光掲示板が整備され、ATOS導入直前の埼京線と同等の旅客案内が実現している。

 列車運行の上で武蔵野線と関係の深い京葉線では、1990年の全線開業時よりCTCおよびPRCが稼動している。2004年にはPRCの処理能力が増強されており、当面は現状のまま推移するものと見られる。

「遅れ挽回」から「統合」へ

 1970年代前半には、各地の閑散線区でCTCの導入が進められた。首都圏の過密線区ではCTCの導入が見送られ、ATOSの導入まで何のシステムもない状態だった。各駅と指令が電話でやりとりしながら、勘に頼って運行を管理していたのである。ATOSの開発と導入には、首都圏の主要線区における近代化の遅れを一気に挽回する狙いがあった。

 2006年3月に南武線でのATOS導入が完了し、当初の計画は完了した。途中で計画に加えられた埼京線、今回の横須賀線・武蔵野線については、第一義的には既存システムの「置き換え」ということになる。ただ、ATOSは自律分散型のネットワークである。単なる「置き換え」には留まらず、一つの大きなネットワークへの「加入」という意味合いも出てくる。

 ATOSは線区ごとに構築されているが、実体としては一続きのシステムである。指令室では対象線区全体の動きが手に取るように把握できるわけだが、システムの側もそのような指令室の存在を前提としている。つまり、一部の線区の指令だけが遠く離れた別の場所にあることは想定していないはずである。

 武蔵野線の場合はもともと同じ指令室が担当しているので、比喩的にいえばイスを移動させてATOSの輪に加わるだけで済む。横須賀線の大船以南については、逗子CTCセンターの役割を大幅に縮小し、東京に集約することが考えられているのではないかと推測できる。そうでなければATOSの導入は難しい。


リンク

・公式サイト
 → JR東日本「建設プロジェクトを支える新技術」
 → JR東日本「進行中の建設プロジェクト」

・参考資料
 → 大同信号「京葉線運行管理システムの更新設備」
 → JR East Technical Review「在来線新運転整理支援システムの開発」 [PDF]





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