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2010/9/20(月)2014/9/16(火) 掲載

【ATOS拡大】 青梅線・五日市線、横浜線、京葉線に導入へ

9月公開のJR東日本会社要覧で明らかに。対象拡大は2006年以来。青梅線・五日市線では中央線の線区別ホストを共用。

 ATOSの導入対象線区が拡大され、▼青梅線(立川−青梅間)、▼五日市線(拝島−武蔵五日市間の全線)、▼横浜線(東神奈川−八王子間の全線)、それに▼京葉線(東京−蘇我間の全線)でATOSが導入される。2010年9月、JR東日本が公開した会社要覧の最新版で明らかになった。工期は示されていない。ATOSの導入対象線区が拡大されるのは、▼2001年の埼京・川越線、▼2006年の横須賀線(大船−久里浜間)、武蔵野線に続き、3回目である。

 これらの線区では、いずれもCTCが導入されている。▼青梅線・五日市線は拝島(八高線八王子−高麗川間も管轄)、▼横浜線は橋本(相模線茅ケ崎−橋本間も管轄)、▼京葉線は千葉支社(CTCは東京、新習志野、蘇我に分散して設置)に指令が置かれている。

 青梅線・五日市線、京葉線では、CTCに加えてPRCが導入済みである。▼拝島では、2006年11月19日に電子連動化され、PRC機能も導入されている。▼京葉線では、2004年にCTCおよびPRCが更新されている。一方、▼橋本では、相模線ではPRCが導入済みであるが、横浜線には導入されていない。このため、横浜線は、ほかの導入予定線区よりも導入が急がれる状況にある。

 JR East Technical Review(2011年)では、これらの線区でのATOS導入は、既設PRCの更新時期にあわせて行なうこととされている。PRCの更新時期は、導入後15年程度とされており、▼京葉線では遅くとも2019年、▼青梅線・五日市線では遅くとも2021年までに、既設PRCからATOSへの切り換えが行なわれることになる。

 ただし、青梅線・五日市線については、「中央線」と同一の線区別ホストを使用するという。中央線(快速および各駅停車、中央本線)では、ATOSが導入後15年となることから、2013年度中に更新を完了する予定とされていたが、2014年9月現在、完了しているかは不明(※)である。青梅線・五日市線でのATOS導入は、中央線のATOSを更新する一連の作業と並行して進められることになっている。

※ 一部の駅で出発時機表示器が更新されているほか、南武線以降で採用された、電光掲示板で次列車の接近状況を図示する機能が、中央線(各駅停車)を含め、一部の駅で導入されている。三鷹−立川間で高架化された駅では、駅装置の更新が完了しているとみられる。

各線区の現状と今後の見通し

 横浜線では、一部の駅で既設の電光掲示板が、ATOS導入済み線区で標準的な設置形態(番線ごとに1台)になっていない(ホームごとに1台となっている)ため、これらの駅では電光掲示板の増設や置き換えが行なわれるものとみられる。ツイッターへの投稿によれば、▼2014年8月、十日市場で既設の電光掲示板の上に仮設とみられる配電ボックスが設置、▼2014年9月、菊名で電光掲示板が置き換えられ、既設の装置と連動する形で使用開始になっている。

 青梅線では、青梅でホームを増設し2面3線化する工事が予定されている。2014年8月22日、JR東日本八王子支社が発表した。2014年9月に着工、2017年春ごろ完成予定としている。当面の導入予定が立川−青梅間とされているのは、青梅での配線の変更にかかる手戻りを避けるためとみられ、青梅線・五日市線でのATOS導入は、この工事の進捗を待たずに進められるものとみられる。ホーム増設工事の完了後には、青梅−奥多摩間にもATOSが拡大される可能性がある。

 八高線は、川越線(川越−高麗川間)との直通運転を行なっているが、川越−武蔵高萩間でATOS導入済み、拝島では青梅線の駅としてATOSが導入予定となる中、八王子−高麗川間(拝島を除く)が取り残されることになる。地元自治体などからは、さまざまな直通運転や増発の要望が出されている。長期的には、高麗川および八王子での配線の整理、箱根ケ崎電車区(仮称)の設置、青梅線および南武線の連続立体交差化などと合わせて取り組まれるものとみられる。

 相模線については、地元自治体などでつくる相模線複線化等促進期成同盟会に対し、2010年7月22日にJR東日本が提示した段階的整備内容で、PRCの改修が挙げられている。ATOS導入には、現地のCTCセンターに置かれた指令を東京の指令室に一元化する目的もある。橋本では、横浜線だけでなく相模線への対応も必要であることから、将来的には相模線でも既設PRCがATOSへ切り換えられる可能性がある。

 京葉線では、全線でネットワーク信号制御システムの導入が進められており、2016年12月の完成が予定されている。PRCからATOSへの切り換えは、ネットワーク信号制御システムの導入完了後になるものとみられる。


リンク

・公式発表
 → JR東日本
   東京電気システム開発工事事務所「青梅線拝島駅連動装置電子化」(2006/11/19)
   八王子支社 「青梅駅にホームを新設します」(2014/8/22)

・参考
 → JR East Technical Review 「東京圏輸送管理システム(ATOS)の展開と更新」(2011)
 → 相模線複線化等促進期成同盟会
   新たな相模線交通改善プログラム 「4.相模線を中心とした交通改善方策と整備構想、利用促進方策」(2014/7/16)
 → 神奈川県
   鉄道輸送力増強促進会議 「平成25年度の要望及び鉄道事業者からの回答」(2014/4/7)
 → 川越市
   「東武東上線・JR川越線に関する要望活動について」(2011/1/21)

・個人
 → ツイッター
   十日市場で撮影したとされる写真(2014/8/28)
   菊名で撮影したとされる写真(2014/9/3)
   菊名で撮影したとされる写真(2014/9/6)


関連ページ

広がるATOS

導入済み線区
 → 中央線(快速)・中央本線
 → 埼京・川越線

導入予定線区
 → 青梅線・五日市線
 → 横浜線
 → 京葉線




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