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2014/8/20(水)2014/9/16(火) 掲載

【羽田空港アクセス線】 休止中の貨物線を活用、羽田空港乗り入れを検討

中央特快並みの表定速度、りんかい線とも接続。緊急輸送道路またぐ高架橋、耐震補強の必要から検討急がれたか。

 JR東日本は8月19日、国土交通省・交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」において「羽田空港アクセス線構想」に関する説明を行なった。

 日本経済新聞、東京新聞ほかの報道によると、構想では、東海道貨物線の休止中の区間(浜松町−東京貨物ターミナル間、大汐線)を活用し、▼りんかい線の車両基地入出庫線との接続線(「京葉貨物線」として建設が計画されていたルート)、▼りんかい線の大崎方面と接続する線路(東品川短絡線)、それに▼羽田空港に乗り入れるためのトンネル(アクセス新線)を整備し、東京・新木場・新宿−羽田空港間を直通させる。所要時間が大幅に短縮され、鉄軌道による都心と羽田空港の間の輸送力を現状の1.8倍に高めることができるという。

 実現には、概算で3200億円(※1)と見込まれる事業費の負担など課題が多い。2020年に東京での開催が予定されている世界的スポーツイベントにも間に合わない。一方、休止中の貨物線については、高架橋の耐震補強が迫られており、今後の方針を早急に検討する必要があったものとみられる。

 4月、政府が推進する「国土強靭化」について、目標年次を明示する「実施計画」の素案が明らかになり、鉄道(JRの在来線、私鉄など)の耐震補強については2017年度までに概ね完了させるという目標年次が明示された。耐震補強の優先順位が高いのは、▼新幹線の高架橋、▼新幹線・高速道路と交差する高架橋、それに▼緊急輸送道路と交差する高架橋である。新幹線の高架橋(高架橋柱)については、2010年度までに全国で概ね耐震補強が完了している。

 休止中の貨物線は、東京都が特定緊急輸送道路に指定している▼首都高速1号羽田線、▼首都高速湾岸線、▼国道357号線(湾岸道路)とそれぞれ1ヶ所で交差しているほか、緊急輸送道路に指定している▼都道480号線と2ヶ所、▼主要地方道316号日本橋・芝浦・大森線(海岸通り)と1ヶ所で交差している。Googleストリートビューで確認したところ、2013年7月現在、休止中の貨物線の高架橋柱の耐震補強は行われていない。並行するJR東海の新幹線回送線(大井回送線)については、耐震補強が完了している。

 構想では、東京−羽田空港間の所要時間を18分としている。この区間は約16.5kmとなるため、表定速度55km/h程度での運行を見込んでいることになる(※2)。途中の停車駅の有無も不明で、一概には比較できないが、中央特快、東海道線の普通列車と同等の表定速度となる。

 運賃収受の都合上、りんかい線と直通する列車を運行するには、りんかい線内の駅をすべて通過し自社線まで直通するか、羽田空港側に新設される駅で、東京方面と新宿・新木場方面でのりばおよび改札口を分ける必要がある。なお、りんかい線では、ATS-P、CTC、および、JRのPRCに相当するPTC(運行管理装置)が導入されており、京葉線とりんかい線の間での団体臨時列車の直通運転は既に行なわれている。

※1 同社は首都圏の在来線について、2012年7月より5年間で3000億円を投じる規模で耐震補強を進めているが、休止中の貨物線は計画の対象外である。
※2 東京−田町間を4.6km、田町−羽田空港間を11.9kmとして算出した。


リンク

・公式発表
 → 国土交通省
   交通政策審議会 「第4回 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会 議事要旨」(2014/8/19)
   陸上交通分科会 鉄道部会 第8回 「2. 東日本大震災における鉄道施設の防災対策の効果と今後の取組について」(2011/8/10)
 → JR東日本「大規模地震に対する取り組みについて」(2013/3/5)

・報道
 → 日本経済新聞「JR東日本、羽田空港への新線構想を発表 東京―羽田18分に短縮」(2014/8/19)
 → 東京新聞「羽田アクセス時短 JR東、新線構想」(2014/8/20)
 → 共同通信「鉄道耐震化、4年で完了 政府の「強靱化」計画素案」(2014/4/29)

・参考
 → 東京都
   耐震ポータルサイト 「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例における緊急輸送道路 港区周辺」(2013)
 → 東京臨海高速鉄道(TWR、りんかい線)
   「列車の運行管理」
   「車両について」


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