2005/8/12(金) 更新

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大崎(目黒川信号所)−池袋間、大崎支線に導入

 山手貨物線では、大崎(目黒川信号所)−池袋間と大崎支線(大崎駅−蛇窪信号所間)を対象にATOSが導入されている。「JR EAST Technical Review」によると、山手貨物線と東北貨物線は池袋を境界として扱われるという。なお、目黒川信号所、蛇窪信号所は現在、地点を示す通称に過ぎず、正確には大崎駅構内ということになっている。

 山手貨物線でのATOS導入は、埼京・川越線と同時に行われた。山手貨物線と池袋−十条間(赤羽線)については、2004年秋のダイヤ改正における湘南新宿ラインの大幅増発にあわせ、旅客案内機能や輸送管理機能の一部が先行使用されていたようである。

大崎・恵比寿・渋谷・新宿・池袋に旅客ホーム

 山手貨物線では、大崎・恵比寿・渋谷・新宿・池袋の各駅に旅客ホームが設けられ、埼京線と湘南新宿ライン、特急〔成田エクスプレス〕などが発着している。

 埼京線・宇都宮線(東北線)・高崎線が新宿に乗り入れたのが1995年。その後、1996年3月に恵比寿・渋谷、2002年12月に大崎でホームが設置された。

 恵比寿−池袋間の「埼京線ホーム」は当初、10両編成に対応する長さで建設され、後から15両編成に対応するよう延長された。



(大崎駅、2005/7 撮影)

 2004年6月には池袋の立体交差化工事が完了、同年9月には新宿の配線が変更され、一定本数の旅客列車が走る下地が整った。貨物線であり距離も短いとはいえ、かなりの本数の旅客列車が運転される主要な線区の一つとなっている。

ATOSが本領発揮する複雑な運行体系

 山手貨物線には、山手線西側の「快速線」としての役割や、大宮方面と横浜方面を結ぶ「縦貫線」としての役割がある。

 湘南新宿ラインは、東北貨物線と山手貨物線(大宮−大崎間)、横須賀線(西大井−戸塚間)を経由し、宇都宮線(東北線)・高崎線方面と東海道線・横須賀線方面を結ぶ直通列車である。2001年12月のダイヤ改正で登場した。



(恵比寿駅、2005/7 撮影)

 2002年12月には東京臨海高速鉄道(TWR)りんかい線(臨海副都心線)が大崎まで延伸開業し、りんかい線と埼京線が相互直通運転を行なっている。



(恵比寿駅、2005/7 撮影)

 当初は大崎での折り返しも多かったが、2004年10月のダイヤ改正以降は多くの列車がりんかい線に直通している。このため、埼京線は新宿折り返しと池袋での入出庫以外はりんかい線直通ということになり、比較的シンプルなダイヤとなっている。





(恵比寿駅、2005/7 撮影)

 ただ、湘南新宿ラインの通る大崎支線−横須賀線の分岐点(蛇窪信号所付近)では、平面交差が残っている。このため、湘南新宿ラインの上下の列車をなるべく同時刻に通過させることで、支障時間を最短にするという工夫が行なわれている。

 2004年10月のダイヤ改正から恵比寿を通過する快速運転が開始されたが、これには「速達サービス」という意味だけでなく、湘南新宿ラインの蛇窪上下同時通過を優先しながら全体の本数も増やすための「秘策」という意味もありそうだ。



(大崎駅、2005/7 撮影)

 このように、山手貨物線のダイヤはJR東日本管内ではかなり複雑な部類に入るものである。この線区を円滑に動かし、遅延時に他線区への影響を最小限に抑えるために、ATOSは大きく貢献するものになるだろう。

 なお、2009年に新宿駅改良工事が完了すると山手貨物線ホームが3面6線に増設される。新宿での折り返し運転がしやすくなり、現在の横須賀線・総武線(快速)のように、異常時には他線区への乗り入れを中止することも容易になる。

 また、2010年ごろには蛇窪信号所付近で上り短絡線を設け、平面交差支障を改善する計画もある。これが実現すれば、山手貨物線のダイヤはより柔軟に組み立てることができるようになる。

案内のシンプル化が課題

 旅客案内の上で、山手貨物線は難しい線区である。

 大崎駅の駅名標では、路線が3方向に分岐することになっている上、4色に色分けされている。

 西大井・新川崎に止まらない快速列車があるため「横浜」が示されているが、別の線路を通るわけではないため「西大井」に一本化しても問題はないと思われる。

 また、埼京線・りんかい線系統と湘南新宿ラインは完全に分離しているので、大崎駅での分岐という表現は直感的ではない。



(大崎駅、2005/7 撮影)

 電光掲示板では駅名標とは異なり、りんかい線に紺色が割り当てられている。同一ホームから両方向に発車することに注意が必要であるが、埼京線の電車については路線名が表示されないなど不十分な点も残る。



(大崎駅、2005/7 撮影)

 湘南新宿ラインの案内では、戸塚までは種別の違い(西大井・新川崎・保土ヶ谷・東戸塚に停車するか否か)が最も重要であり、戸塚以南の直通先路線名は車内や戸塚駅で案内をすれば十分である。

 そもそも、大船までの利用客には「路線名」の案内は不要である。大船以西・以南へ向かう利用客でも、「行き先」を確かめてもらうことで「路線名」の案内は不要になる。

 山手貨物線内では単に「湘南新宿ライン 横浜・大船方面」とすれば十分ではないだろうか。

全ホームに出発時機表示器

 山手貨物線の各ホームでは2005年6月までに出発時機表示器の設置が完了している。

 なお、山手貨物線では宇都宮線(東北線)・高崎線と同様、外観の変更された「003A」型が採用されている。



(恵比寿駅、2005/7 撮影)

安全性追求の節目となるATOS導入

 山手貨物線では1998年2月21日、大崎−恵比寿間で作業員5名が臨時列車にはねられる事故があった。通常の終電後に臨時列車が走ることを責任者が確認していなかったのが原因とされている。

 ATOSでは、現場の担当者が携帯型の無線端末(ハンディ・ターミナル)を使用して、容易かつ確実に線路閉鎖(ある一定の範囲に列車を進入させないこと)の手続きをとることができる。

 山手貨物線へのATOS導入は、一つの節目として大きな意味を持つ。

ATCバックアップ廃止

 山手貨物線では埼京線の電車(ATC)とその他の列車(ATS)の両方に対応するため、ATCとATSが併設された「ATCバックアップ」区間となっていたが、2003年5月にはATSに統一されている。


参考/出発時機表示器設置のスケジュール

2004/ 4 池袋
〜2005/ 2/ 1 新宿
〜2005/ 2/ 7 大崎
〜2005/ 6/20 大崎・恵比寿・渋谷・新宿・池袋

参考/使用開始のスケジュール

1996/ 3/16 恵比寿・渋谷 電光掲示板と放送 使用開始
2002/12/ 1 大崎 電光掲示板と放送 使用開始
2004/ 6/ 7 池袋 電光掲示板と放送 ATOSに連動
2004/ 9/22 大崎 放送 常磐線と同様の改良型に変更
2004/ 9/26 新宿 電光掲示板と放送 ATOSに連動
2004/ 9/29 恵比寿 放送 常磐線と同様の改良型に変更
 (以上、スタンドアローン)
2005/ 7/31 線区別中央装置 使用開始
 (出発時機表示器も使用開始か)


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